無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
「……は?なんで冬花がいんの?」
わたしが来るとは思っていなかったのか、
夏向の驚いた声が耳に届く。
力強く目の前にいる夏向の身体をしっかり抱きしめる。
よかった……。
左手に巻かれた包帯を見る限り、ケガはしているけれど、意識があって、本当によかった。
看板が倒れてきて、下敷きになったなんて聞いたら、いやでも重傷だと考えてしまって血の気が引いていく。
「し、心配したんだよ……っ!
看板が倒れてきて、その下敷きになったって噂で聞いて……。
もし、夏向に何かあったらなんて考えたら……っ」
最悪の事態を想像しただけで身体が震えて、それが夏向に伝わる。
すると、夏向がくるりとイスの向きを変えて、わたしのほうに向き直った。
目線を下に落とせば、わたしを見上げる夏向の顔がよく見える。