無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
そして、夏向の長い腕が伸びてきて、
わたしの頬を手のひらで包み込むように触れる。
「……心配してくれたの?」
そんな優しい手つきで触れないでほしいと思いながら、首を縦に振る。
「……そんな泣きそうな顔して」
「夏向のせい、だよ……っ」
わたしを見る瞳が、いつもより優しくて、表情も柔らかい。
なんでそんな顔するの……?
「ケガ……、大丈夫なの……?」
「ん、大丈夫。さすがに看板の下敷きになってたら頭打って意識ないだろうし」
「そ、そんな怖いこと平気で言わないでよ……」
「看板が倒れてきた時に間一髪でよけたから。
その時転んで手ついてひねっただけ」
包帯が巻かれた手をわたしに見せて言う。
「い、痛くないの……?」
「痛いよ、すごく痛い」
「じゃ、じゃあ…病院行ったほうが……」
「冬花が俺のそばにいてくれたら痛いの治るよ」