無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。

「も、もう離してくださ——」

「じゃあ俺と付き合おうよ」


「な、なんでそうなるんですか」


「いいじゃん別に。木咲くんだって彼女いるのに冬花ちゃんに手出してるんだし。俺も混ぜてよ」


何この人。変わり者すぎない？
前から変わり者だと思っていたけど、今の発言でさらにそれが増した。


いったいどういう神経してんだって。



「かたちだけでいいから付き合うことにしない？そーすれば、もしかしたら木咲くんの気持ちがわかったりするかもよ？」



悪魔のささやきに気持ちがグラッと揺れかかった。


今まで夏向しか見ていないわたしは、ほかの人と付き合ったことはない。


夏向も、わたしがほかの人と付き合うなんて考えたことないと思う。


もし、黒瀬先輩と付き合うことになったって夏向に告げたら、どんな反応をしてくれるだろう。


試したくなる気持ちがより一層強くなっていく自分の悪い心。