無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
「あっ、待たせてごめんね」
急いで靴を履き替えて、夏向の元へ駆け寄る。
「ん、いーよ。俺も連絡してないし、
勝手に待ってただけだから」
こうして、一緒に帰ることになったのはいいんだけれど。
ふと思った。
よく考えてみたら、わたしたちこうやって一緒に帰るの初めてじゃないかと。
朝はわたしが夏向の家に泊まって、
そのまま一緒に登校する時はあったけれど。
会話もなく、隣で並び歩いていると、
さりげなく夏向がスッと手を繋いできた。
あまりに自然な行為。
手を繋ぐのは初めてじゃないはずなのに、
手が触れただけで、心臓がうるさくて仕方ない。
「……冬花?」
「ひぇっ!?」
もうダメだ、
わたしめちゃくちゃ不自然すぎる…。
「ふっ、なにその反応」
「やっ、えっと、別に深い意味はないといいますか……」