無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



もっとちゃんと夏向のことを聞き出しておけばよかったのにと後悔するばかり。



「……どーかした?ため息ついてるし」


「いや、別に……」



「お目当てのものなかったから?」

「うん……」


今ここで何が欲しいか夏向の口から言ってくれれば助かるんだけども…と思いながら電車は駅に着いた。



駅構内も、クリスマスの雰囲気に包まれていてどこを見ても赤色とか緑色とかクリスマスカラー。




結局プレゼントどうしようと頭を悩ませながら歩いていると、夏向があるお店の前でピタッと足を止めた。



「……クリスマス」


「え?」



ひとことボソッとつぶやいて、目の前にあるショーケースの中身をジッと見ている。




「このサンタって食べれるの?」


「あ、それ食べれるよ。たぶん砂糖でできてるから」



夏向が見ているものはホールのクリスマスケーキ。


真っ白な生クリームに、真っ赤なイチゴ。
上にはサンタとトナカイの砂糖の飾り物。

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