無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
甘すぎてクラクラして、酸素が足りなくなって息苦しい。
夏向の胸を軽く叩くと、ようやく離してくれた。
「……キス、甘いね」
「っ…!なんで、キスするの……」
まだ少しだけ整っていない呼吸で夏向に言うと。
「唇にクリームついてたから舐めてあげただけ」
「う、うそだ…ぜったいうそ」
だって顔がイジワルそうに笑ってるし、うそだって書いてあるもん。
「キスいやだった?」
「そ、それは…」
急にシュンとした様子で聞いてくるから、答えに迷っていると。
「いいに決まってるよね。あんな甘い声出してんだから」
「なっ……、バカッ!」
そんなこんなで、ケーキ作りは無事に終わって。
今はリビングにある大きめのソファに座って、切り分けたケーキを食べようとしているところ。
「はい、じゃあこれは夏向の分」
お皿とフォークを手渡しすると、何やら不満そうな顔をしてこちらを見ている。