無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。

「夏向よろこんでくれるかな」


「そりゃよろこぶでしょ。まあ、他の女子たちも負けずに木咲くんにチョコ渡すだろうけど」



はぁ、そっか…。

夏向に片想いしてる子って結構いるだろうし。


どれくらいチョコもらうんだろう。

わたし以外の子から受け取るの嫌だなって思うのはわがままなことなのかな。



去年もらってたっけ？

ダメだ、記憶がなさすぎて覚えてない。



「モテる男の彼女も大変だねぇ」


「なんかバレンタイン憂うつになってきた」



「まあ、木咲くんは冬花しか眼中にないからそんな心配することないと思うけどね」


「どうだろう…」



「大丈夫よ、彼女として自信持ちなさい。
あれなら、他の子からもらったチョコなんてぜんぶ冬花が食べちゃえば」


「えぇ、それはやだよ」



こうして、少し不安を抱えたままバレンタイン当日を迎えた。