無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



それは違うと思った。


散々わたしの自分勝手で振り回してしまって、
たくさん優しくしてもらって、そばにいてもらったんだから、最後くらいは笑顔でお礼を言って見送りたいと。



夏向はかなり不満そうだけれど、特に反対はせずに一緒に佑都先輩を待ってくれている。



今、佑都先輩はたくさんの女の先輩や在校生たちに囲まれていて、ネクタイやらブレザーのボタンやら取り合いになっている。



モテる人の卒業式って大変。


遠くからそんな様子を眺めていると、偶然なのか佑都先輩と目があった。




すると、何やら口パクで、指である場所をさしながら。


『校舎裏』


たぶん、校舎裏の人があまりいないところで待ってろって意味?



佑都先輩の今の様子を見る限り、とても抜け出せそうにないんじゃと思いながら、夏向と校舎裏に向かった。

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