無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
いいかげん泣き止んで、家に帰ろうとした時だった。
下を向いて泣くわたしの前に大きな影が重なった。
そして。
「……そんなところにいたら変な人に連れていかれるよ」
低く、落ち着いた声に反応して顔を上げた。
暗闇を照らす月明かりのおかげで、声をかけてきた男の子の顔がよく見える。
一瞬見ただけで、視界が涙のせいで霞んでいるはずなのに、わたしの瞳に映る彼の顔はとてもきれいだった。
「……すごい泣き顔」
まるで物珍しいものを見るように、わたしの顔をジーッと見てくる。
この人の顔、どこかで見たことあるような……。気のせい、かな。
何も言わないわたしに、呆れて帰るのかと思いきや、わたしの隣の空いているブランコに座った。
そして、ブランコを揺らしながら、口を開いた。