無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
あれだけ一瞬で寝て、呼びかけても反応ないくらい熟睡していたのに。
扉の前に突っ立ったままのわたしに、夏向の視線がゆっくりこちらを見た。
暗くて表情までは見えない。
すると、ベッドに座っていた夏向が急に立ち上がり、わたしのそばにきた。
そして目の前に立ち、わたしの手をギュッと握ったかと思えば、指を絡めてきた。
何事だろうと思い、顔を上げて夏向の表情を見るとさびしそうに瞳が揺れていた。
その夏向を見て、胸が痛んだ。
なんで痛いのか自分でもわからない。
「……冬花嘘ついた」
「え?」
不機嫌そうな、すこし拗ねたような声。
まるで小さな子どもみたい。
「俺から離れないって言ったじゃん」
「い、いや……だって、電気つけたままだったし、タオルも片付けないとって思って……」
「そんな言い訳どーでもいいよ」
また、簡単に腕を引かれて強く抱きしめられる。