無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
樹里は鏡を片手に、前髪を直しながら化粧品が入りすぎて膨れているポーチを自分の膝の上に置いて身なりを整えている。
朝からよくもまあ、そんな気合いが入ることで……。
見た目が高校生に見えないくらい美人……というか色気がすごい樹里。
肌の色が雪みたいに白くて、その白さを引き立てる真っ黒で艶のある長い髪。
そんな容姿を持っていれば、それはもう男の人が放っておくわけもなく。
落とした男は星の数みたいな。
女版の夏向みたいだとわたしはいつも勝手に思ってる。
「樹里、朝から気合い入ってるね」
「んー、そう?」
今度はポーチの中からリップを取り出して、唇を尖らせて塗っている。
「逆に冬花は何もしてなさすぎ。そんなんじゃ男寄ってこないわよ」
「別に樹里みたいに誰でもいいわけじゃないもん」
「うわ、その言い方ひど。ってか、ちゃんと選んでるし」