無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



樹里は鏡を片手に、前髪を直しながら化粧品が入りすぎて膨れているポーチを自分の膝の上に置いて身なりを整えている。


朝からよくもまあ、そんな気合いが入ることで……。


見た目が高校生に見えないくらい美人……というか色気がすごい樹里。


肌の色が雪みたいに白くて、その白さを引き立てる真っ黒で艶のある長い髪。


そんな容姿を持っていれば、それはもう男の人が放っておくわけもなく。


落とした男は星の数みたいな。

女版の夏向みたいだとわたしはいつも勝手に思ってる。



「樹里、朝から気合い入ってるね」

「んー、そう?」


今度はポーチの中からリップを取り出して、唇を尖らせて塗っている。


「逆に冬花は何もしてなさすぎ。そんなんじゃ男寄ってこないわよ」


「別に樹里みたいに誰でもいいわけじゃないもん」


「うわ、その言い方ひど。ってか、ちゃんと選んでるし」

< 66 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop