無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
「そりゃ樹里みたいに美人だったら選びたい放題だろうけどさ。複数の人に言い寄られて楽しいの?」
「楽しいっていうか、その中からわたし好みの男を見つけるんじゃない。誰かさんみたいに1人の男に執着するのはごめんだし?」
妙に誰かさんを強調されて、嫌味っぽく言われたのは気のせいだろうか?
「別に、わたしは夏向に執着してるとかそういうのじゃ……」
「何を言うか。かれこれずっと木咲くんとわけのわからん関係で繋がってるくせに」
樹里はこう見えて……とか言うの失礼だけど、きちんとわたしの話を聞いてくれて、夏向との関係や、わたしの家庭の事情を理解してくれている、いい友人でもあったりする。
「もう、その繋がりは切るつもりだもん…」
「それ、100回は聞いたよ」
「100回は大げさだよ……」
呆れた口調で樹里が折りたたみの鏡をパタッと閉じた。