無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。



「……俺さー、冬花の長い髪すき」

「……っ、知ってるよ」


「いつも俺のすきな甘いにおいする」



だいぶ前、夏向が長い髪が好きだっていうから。

それ以来、髪を短くすることはなくなって。



いつも髪につけるヘアミストだって、夏向が好きって言ったから同じものをずっと使っている。



夏向はそんなこと知らないだろうけど……。


わたしって本当に単純だ……。



「冬花に触れていいのは俺だけだもんね」


後ろから夏向の長い腕が回ってきて、グッと引き寄せてきた。


身体のバランスを崩したわたしは、そのまま夏向の胸に飛び込んだ。



……クラッときた。



夏向の体温を感じて、夏向に触れられて。
尋常じゃないくらい胸の鼓動が速くなる。


「……冬花」


耳のそばで名前を呼ばれて、吐息がかかってくすぐったい。


「……やっ」


思わずそんな声が漏れて、夏向の背中に回していた腕に力が入った。

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