月の見える丘で君と何を話そうか
救急車よりも先に病院へ着き
優斗が来るのを待つ
近づくサイレンの音がより不安をかき立てる
(大丈夫……優斗は絶対大丈夫)
楓花を抱き抱える手に力が入った
救急車が着くと運ばれてくる優斗
「優斗!優斗!!」
担架に乗せられた優斗の意識はない
「奥さんこれ」
手渡されたのは優斗の携帯と首に巻いていたネックウォーマー
それが濡れていたのは雨のせいだけではない
握った手が真っ赤に染まっていた