月の見える丘で君と何を話そうか


手術室のランプが消え医者から説明を受ける

「最善の手は尽くしました
あとは本人の生きる力次第です」

テレビドラマで観るような
そんな不思議な光景

これは悪い夢なんだ
目が覚めればまた3人で笑って居られる

何度もそう思った

ICUに入り優斗の姿を見てこれは現実なんだと思い知らされる

沢山の線や点滴、管がつけられた優斗は
もう瞬きすらしない

ただただ動いているであろう心臓だけが大きく揺れている

彼につけられた機械は不規則に警告音がなる

「奥さんがご覧通り、脈も血圧も全てがバラバラでもうほとんど機能していません
心臓が持つまで会いに来てあげてください」

それは死を宣告する言葉·····




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