ほわいとちょこれーと!─幼馴染みと恋するホワイトデー
 それから私たちはできあがったチョコをラッピングして、残ったチョコでチョコパーティーをしたあと7時頃に解散した。


「じゃあまた学校でね!」

「バイバイ」


 ミサトの家から二つ目の交差点でレイラと別れる。

 手には紙袋ひとつ。明日配る友チョコが入っている。


 歩きながら紙袋の中を覗き見る。


 紙袋いっぱいに入った小さなチョコの包みの中にひとつだけ水色のリボンがかかった包みがある。


 それは─



(千早の分─)



 ビニールの包みの中で街灯の灯りを受けてチョコがつやつやと光る。

 一番上手にできたチョコ。


(千早、喜んでくれるかなぁ…)


 昔からチョコ好きだし、きっと喜んでくれる。


 できれば私からもらえたことを喜んでくれたら嬉しいんだけどな…


 なんて思ったところでちょっと恥ずかしくなって慌ててばっと紙袋を閉じた。


(千早…)


 こちらを振り返る千早が頭の中でフラッシュバックして頬が熱くなる。



 3歳の頃から知ってる千早。


 一緒にすべり台も砂遊びもしたし、千早の家に遊びに行ったし、千早がうちに来たこともあるし、一緒におやつを食べてごはんも食べて、そればかりかプールも行ったしこども合宿で一緒にお泊まりもしたし…


 それがいつからだろう。


「千早が好き」って思ったのは。

 他の誰かじゃダメで、「千早がいい」って思うのはどうしてだろう。



 冷たい冬の夜風がびゅうっと吹き付け、ほてった頬を冷ます。


「寒…」


 私は紙袋の持ち手をきゅっと握り締めて夜道を急いだ。


     *  *  *
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