ほわいとちょこれーと!─幼馴染みと恋するホワイトデー
「ねぇねぇ友チョコ作ったの!食べて!」
「わぁすごい!ありがとう!」
「ミサトたち3人で?女子力高ーい!」
2月14日。バレンタインデー当日。
私たちは朝からクラスのみんなにチョコを配って廻っていた。
「ハートのチョコ、めっちゃ可愛い~」
女の子達からの評価は上々。
「チョコくれんの?うっわ!しかも手作り!ラッキー!!」
男子も手作りチョコに喜んでくれる。
配りながらもドアの方をちらちらとうかがう。
(千早、まだかな…)
千早はいつも登校して来るのが遅い。
分かってるけど、でも今日はいつ来るかいつ来るかと気になってしまう。
早くチョコを渡したいって気持ちと、それから、意外とモテる千早が誰か女の子に捕まってないかって不安と…
「おはよー」
「!!」
聞きなじんだ声にどきりとする。
いつもよりさらに遅い始業3分前。千早が教室に来た。
高鳴る胸。
声をかけなくちゃ、と思う間もなく千早の方から
「えっ何、チョコ配ってんの?」
と近付いてきた。
「あっ!あの、ちは…」
「千早くん!」
「!」
先に声をかけたのはミサトだった。
「チョコ作ったの。良かったら食べてもらえないかなぁ」
「いいの?サンキュ」
「それとね…」
ミサトが手にしていたくまちゃん柄のピンクの袋に手を差し入れる。
取り出したのはブルーの包装紙の箱。
(あ…!!)
「千早くんにはこれも!」
「え、これは?」
「これはね、─」
ミサトが千早に耳打ちする。
小さな声だったけれどすぐそばにいた私にははっきり聞こえた。
『特別。
気に入った人にしか渡さないやつだから』─