転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
プロローグ
ヴィオラは、慎重な手つきで片面の焼けたパンケーキをひっくり返した。厨房には、パンケーキの焼ける甘い香りが漂っている。
厨房で自分の仕事にいそしんでいる料理人達も、ヴィオラが厨房を使うのには慣れているので、ヴィオラの作業を時々ちらりと確認しては、自分の仕事を続けている。
「ニイファ、お皿を取ってくれる?」
「かしこまりました」
焼きあがったパンケーキを、これまた慎重な手つきでニイファの差し出してくれたお皿に盛り付け、パンケーキの隣に抹茶クリームと粒あんを添えた。
「……できた! どう?」
「とても、おいしそうですよ」
ニイファに感想を求めれば、おいしそうに見えると断言してくれる。皇妃はヴィオラの作るお菓子を好んで食べてくれるけれど、毎回渡す前にはどきどきしてしまう。
「じゃあ、皇妃様のところに持っていきましょ」
皇妃に渡す分を焼く前に、ニイファとちゃっかり味見をすませたので、味の方は心配ないとわかっている。
今頃は、皇妃の侍女がお茶の用意をして待ってくれているはずだ。
今日は一階にあるサンルームでお茶の時間を過ごすことになっている。
「お待たせしました。どうぞ」
他の場所ではそういうわけにはいかないけれど、皇妃とヴィオラのお茶会の時は、使用人達も同じテーブルにつくことを認められている。
にこにことしながら、皇妃はパンケーキを切り分けて口に運び、ヴィオラに目をやっては、また微笑む。
「ヴィオラ、とてもおいしいわ。このクリームは抹茶よね」
「そうです。気に入ってくださったなら、よかったです」
「あなたが焼いてくれたお菓子は、とてもおいしいもの」
ヴィオラは、皇妃の言葉が終わるのを待って、パンケーキにナイフを入れた。
口に入れれば、パンケーキのふわりとした食感にバターの香り。そしてその後から、抹茶の香りが重なるように広がってくる。
「本当においしい」
「ヴィオラ様、また腕を上げられたのでは?」
なんて、皇妃の侍女達がほめてくれるのも嬉しい。
外の風は冷たいけれど、サンルームはぽかぽかとして温かい。そして、心許せる人達と一緒に、一つのテーブルを囲むことができるのが、こんなにも幸せなことなんて。
厨房で自分の仕事にいそしんでいる料理人達も、ヴィオラが厨房を使うのには慣れているので、ヴィオラの作業を時々ちらりと確認しては、自分の仕事を続けている。
「ニイファ、お皿を取ってくれる?」
「かしこまりました」
焼きあがったパンケーキを、これまた慎重な手つきでニイファの差し出してくれたお皿に盛り付け、パンケーキの隣に抹茶クリームと粒あんを添えた。
「……できた! どう?」
「とても、おいしそうですよ」
ニイファに感想を求めれば、おいしそうに見えると断言してくれる。皇妃はヴィオラの作るお菓子を好んで食べてくれるけれど、毎回渡す前にはどきどきしてしまう。
「じゃあ、皇妃様のところに持っていきましょ」
皇妃に渡す分を焼く前に、ニイファとちゃっかり味見をすませたので、味の方は心配ないとわかっている。
今頃は、皇妃の侍女がお茶の用意をして待ってくれているはずだ。
今日は一階にあるサンルームでお茶の時間を過ごすことになっている。
「お待たせしました。どうぞ」
他の場所ではそういうわけにはいかないけれど、皇妃とヴィオラのお茶会の時は、使用人達も同じテーブルにつくことを認められている。
にこにことしながら、皇妃はパンケーキを切り分けて口に運び、ヴィオラに目をやっては、また微笑む。
「ヴィオラ、とてもおいしいわ。このクリームは抹茶よね」
「そうです。気に入ってくださったなら、よかったです」
「あなたが焼いてくれたお菓子は、とてもおいしいもの」
ヴィオラは、皇妃の言葉が終わるのを待って、パンケーキにナイフを入れた。
口に入れれば、パンケーキのふわりとした食感にバターの香り。そしてその後から、抹茶の香りが重なるように広がってくる。
「本当においしい」
「ヴィオラ様、また腕を上げられたのでは?」
なんて、皇妃の侍女達がほめてくれるのも嬉しい。
外の風は冷たいけれど、サンルームはぽかぽかとして温かい。そして、心許せる人達と一緒に、一つのテーブルを囲むことができるのが、こんなにも幸せなことなんて。
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