転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「そうだ、リヒャルト様。ピクニックしましょう、ピクニック。天気のいい日を選んで、お弁当を持って、芝生の上に敷物をしいて」

 肩越しに彼の顔を見上げて、ヴィオラはねだるようにそう言った。

「皆で食べるご飯はおいしいですよ。リヒャルト様もそう思うでしょ?」

「あ、ああ……そうかもしれないな」

「皇妃様も、たぶん同じだと思うんですよ。私も、ニイファと一緒に食べるご飯が好きなんです。こっちに来てからは、他の人と一緒に食べてるので、一緒に食べられないんですけど」

 クィアトール宮では、令嬢達はマナーの勉強を兼ねて使用人達に給仕されながら生じする。使用人達は、給仕をしてから使用人用の食堂で食事をとるのだ。

 イローウェン王国にいた頃は、ニイファとふたりで食事をするのが楽しみだったけれど、ここに来てからはなかなかそんな機会もない。

 二人きり、部屋でお茶を飲む時だけは以前のように同じテーブルについているけれど、以前より回数が減ってしまったのは残念だった。

「ニイファは侍女だろうに」

 侍女と共に食事をするというのは、この国ではあり得ないことだ。もちろん、ヴィオラの祖国でもそんなことをする人はいなかった。

「ニイファは侍女だけど、もっと大事な人なんです。私には……ニイファしかいないから。同じように、皇妃様にはリヒャルト様しかいないと思うの」

 その言葉に、肩越しに見上げたリヒャルトがはっとしたような表情になった。

「おいしいご飯は、心を豊かにするんですよ。ピクニックのお弁当は、私が用意しますね!」

 ヴィオラの宣言に、リヒャルトは黙ってうなずいてくれた。



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