転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「……ごまかされないと言っているでしょうに」

 きっと眉を吊り上げたティアンネ妃が、一歩前に出る。

 その迫力にたじろいで、思わず一歩後退してしまった。

「――ティアンネ様。大人げありませんよ。わざわざ、こちらまでおいでになることはないでしょうに」

 ティアンネ妃をいさめてくれたのは、リンデルトだった。彼が間に入ってくれたことにほっとする。

(なんでここにいるのかなって思ったけど、リンデルトはティアンネ妃の護衛でもあるんだものね……)

「陛下は、リゾルデ豊穣祭のことを心配なさっているだけですよ。皇妃陛下が無事に儀式を行えるかどうか。最近、皇妃陛下はきちんと公務に出ておられますが、いつまた公務に出られなくなるかわかりませんからね」

(……この間、様子を見に来たのってそういうことなのかな?)

 リンデルトの言葉を聞きながら考える。先日、皇妃達とのピクニックの場に、皇帝が急に姿を現した。

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