転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 リゾルデ豊穣祭とは、大地の女神であるリゾルデに、感謝をささげる祭りのことだ。

 毎回、秋の吉日が選ばれるのだけれど、その日は全国民が仕事を休むことになる。

 領主や地域の有職者達は、町の人達にビールやワイン、ご馳走を振る舞い、国中大騒ぎとなる。

 その一方、皇帝一族はというと、リゾルデ豊穣祭に向けて、数か月前から準備を始める。皇宮の中に設けられている神殿に、三回に分けて捧げものをするのだ。

 皇帝と皇妃でなければだめということではないのだけれど、その場合代役に立てられた者は、一週間前から毎晩禊を行わなければならない。

「そういえば、二度目の儀式がそろそろだったわ。今度は私、ちゃんとできると思うの」

「それなら、よかったです」

「でも、こうやって外で食事をいただくのは春まで無理そうね。次からはサンルームにしましょう」

「風が冷たいですね、早めに引き上げましょう、母上」

 秋も深まってきて、風もだいぶ冷たくなってきた。外でのピクニックは、春になるまでお預けになりそうだ。

 これからは、室内で楽しく過ごす方法を考えなければ。

(火鉢とか用意できたら、かまくらを作るのも楽しそうなんだけど……どうかな? 私とニイファだけで作るのはきっと無理だろうな……)

 イローウェン王国には、火鉢は存在しなかった。たぶん、オストヴァルト帝国にもないと思う。もしもミナホ国にあれば、取り寄せてみるのもいいかもしれない。

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