転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「でも、どうしてリヒャルトにそんなことを言ったの?」

「皇妃様の場合は、普通の人とちょっと感覚が違うかもしれないけど、家族で食事をするって、大切なことだと思うんです」

「――それなら、あなたは? 家族と離れてこちらに来ているのでしょ?」

 皇妃の問いに、一瞬戸惑った。ヴィオラには家族なんていない。ニイファが一番近い存在だ。

「私は……クィアトール宮に住んでる人達と一緒に食べています。お友達と食べるのも楽しいですよ?」

 クィアトール宮に住んでいる令嬢達は、友人というにはちょっと微妙な気もする。けれど、それしか言えなかった。

「……そう。ひとりじゃないのなら、よかったわ。それに、あなたとピクニックをする場所を探すのに、たくさん散歩をするようになったからかしら。最近は、とてもお腹が空くの」

 以前顔を合わせた時には、病人のようだと思ったけれど、今の皇妃はとても元気に見える。

「だとしたら、以前は運動が足りなかったのかもしれませんね」

「運動が足りない?」

 アデリナ皇妃が首をかしげる。そういえば、この国の人達に運動不足という概念はあるのだろうか。

「ある程度身体を疲れさせないと、夜よく眠れなくなるんだって、家庭教師の先生が言ってました。だから、先生は一日一時間歩くそうです」

「騎士団のやつにもそういうのがいるな。眠れなかった日は、次の日の訓練量を増やすんだそうだ。そうすると、たいていはぐっすり眠れるようになる」

 リヒャルトが口を挟む。

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