転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「今回のことはしかたないだろう。ヴィオラのせいじゃない。むしろ、俺達の方がイローウェン王国に詫びを入れなければならないくらいだ。王女を預かっているのだからな」

「そ、そうでしょうか……」

 リヒャルトがそう言ってくれるのなら、安心してもいいような気がする。ヴィオラは、鞍の前をしっかり掴むと、前方に目を向けた。

(……私を連れ去ろうだなんて、どういう目的があるんだろう)

 考えてみてもわからない。帝国からヴィオラを連れ去ることに、なんの意味があるのだろう。

(身代金目当てってわけでもないだろうし……そもそも、あの人達、イローウェン王国の人達なのかしら)

 身に着けているものはイローウェン王国のものであったけれど、彼らの言葉は少し違っていたような気がする。

 しかし、無事に皇宮に送り届けられたあと、医師の診察を受けたり、リンデルトに事情を聞かれたりと過ごしているうちに、ヴィオラのその疑問はどこかに行ってしまった。

 

 ◇ ◇ ◇
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