転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ

　一度、誘拐されたということもあり、ヴィオラの行動範囲はあまりにも狭く制限されることになってしまった。

「窮屈だろう。すまない」

「いえ、それは別にしかたがないというか、なんというか」

「ヴィオラ様を誘拐した者達は、口をつぐんでいましたからね……誰も、なにも話さないままでした」

　セスが悔しそうな表情になる。

　ヴィオラを取り戻したまではよかった。誘拐犯たちも捕まって、皇宮へと連行された。だが、彼らから事情をきくことはできなかった。

　――なぜなら。

　彼らは全員、皇宮に到着するまでに自害していたから。

　死者の口を開かせることはできない。ヴィオラ誘拐の真相は、闇に葬り去られたということになる。

「よほどの忠誠心をもって仕えている者達なんだろう。そうでなければ、自害なんてしない。生き残りたいというのが人間の本能だからな」