転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「ヴィオラ様を取り返し、王太子としようという一派がいるということは聞いています。そいつらの仕業ではないのですか？」

「……それは、ないと思う」

「ですが、ザーラはもともと王の愛人だったと聞いています。愛人の子供が即位するのを嫌がる者もいるでしょう」

「セス！　いいかげんにしろ。子供の前だぞ」

「大丈夫です、リヒャルト様。セスの言うこともわからなくはない……んだけど」

　やっぱり、ここでリヒャルトにきちんと話をしておいた方がいいのではないだろうか。少なくとも、この国において数少ないヴィオラの味方であることは間違いない。

（どこから話したらいい……？）

　でも、もうここまできたら今さらなのかもしれない。

　自分が国内において軽んじられる立場であったのをリヒャルトに知られたくないというのは、ヴィオラの見栄でしかない。

「お異母兄様の即位を面白くないと思う人は、もちろんいると思う。だけど、そこでお異母兄様を退けてまで私を即位させたいと思ってくれる人はいないと思う……国にいた頃、私の味方をしてくれる人はほとんどいなかったから」

　ザーラは、ヴィオラを排除したがっていたとはいっても、事故を装ったり、病気を装ったりとなるべく『自然に』見える形にこだわっていたし、証拠なんて残していない。年頃になるまでヴィオラが生きていたとしたら、政略結婚等別の使い方もできるように計画していたようだ。

　少なくとも、その日の食事に困ったり、王女としての教育をおろそかにされることはなかった。

< 137 / 225 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop