転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
先日、市場で入手した粉を使って作ったお菓子――みたらし餡と小豆の餡を絡めた――の団子も皇妃はとても喜んでくれた。串団子にはできなかったから、可愛らしくお皿に盛りつけて出したら、フォークで刺して食べていた。
自分の作ったものを喜んでくれる人がいるというのは、ヴィオラにも嬉しい。
(……たぶん、お母さんみたいに思ってるんだと思う)
誰にも言うつもりはないけれど、ヴィオラの中ではそう解釈している。
ヴィオラには母との記憶は存在しない。ヴィオラが生まれた時に、母も命を落としたからだ。
父はもともとザーラを寵愛していたから、ヴィオラの知っている『家族』は前世の記憶の中にしかない。
家族で同じものを食べるということが、どれだけ心を近づけてくれるか。最近では、皇妃の食欲はますます増えて、食事も残さず食べられるようになってきたという。
(今日のケーキも喜んでくれたらいいんだけど)
抹茶と小豆のパウンドケーキは、まだほのかに温かい状態で食べるのが好きだ。皇妃が喜んでくれたらいいなと思いながら、ケーキを取り出すタイミングをうかがう。
「あら? 誰か来たみたいですね」
「本当だわ。見てきてくれる?」
慌ただしく厨房に向かってくる足音がする。ニイファが様子を見に行ってくれたかと思ったら、慌てた足音がこちらに戻ってくる。
自分の作ったものを喜んでくれる人がいるというのは、ヴィオラにも嬉しい。
(……たぶん、お母さんみたいに思ってるんだと思う)
誰にも言うつもりはないけれど、ヴィオラの中ではそう解釈している。
ヴィオラには母との記憶は存在しない。ヴィオラが生まれた時に、母も命を落としたからだ。
父はもともとザーラを寵愛していたから、ヴィオラの知っている『家族』は前世の記憶の中にしかない。
家族で同じものを食べるということが、どれだけ心を近づけてくれるか。最近では、皇妃の食欲はますます増えて、食事も残さず食べられるようになってきたという。
(今日のケーキも喜んでくれたらいいんだけど)
抹茶と小豆のパウンドケーキは、まだほのかに温かい状態で食べるのが好きだ。皇妃が喜んでくれたらいいなと思いながら、ケーキを取り出すタイミングをうかがう。
「あら? 誰か来たみたいですね」
「本当だわ。見てきてくれる?」
慌ただしく厨房に向かってくる足音がする。ニイファが様子を見に行ってくれたかと思ったら、慌てた足音がこちらに戻ってくる。