転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「……なにを考えているの?」

「なにを作ったらいいかなって。おにぎりもたくさん作って並べて置いたらいいかもしれないですね」

 皇妃の前だというのに、自分の考えに沈み込んでしまった。慌てて、皇妃に笑顔を向ける。

 まずは、自分に任された仕事を一生懸命やることにしよう。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 不意にヴィオラの生活は慌ただしいものとなってしまった。

 週に四日の授業は、あいかわらず続けられている。

 それから、豊穣祭の日、満月宮で働いている使用人達になにを出すかを決めなければならない。和食については作り方を厨房の料理人に教えなければならないし、和食だけではなく、この国の料理も作らなければ。

 満月宮に異動してから二日後。

 ヴィオラはリヒャルトに連れられて市場にいた。

 比較的動きやすい恰好、お忍びであると気づかれないようにしながら市場を歩く。豊穣祭が近づいているためか、市場全体が活気づいているように見えた。

「そういえば、今日はセスはいないんですね」

「あいつには捜査を頼んでいる。皇宮も広いからな」

「それで最近見かけなかったんですね」

 ヴィオラが満月宮に移動してから、セスの姿を見ていない。リヒャルトの側近だというのにどうしてだろうと思っていたら、捜査に駆り出されているようだ。

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