転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「今のことは口外するな。もしかしたら、お前ははめられたのかもしれない――いや、身を隠した方がいいかもしれないな。すぐに手配しよう」

 リヒャルトは、隠れて護衛にあたっていた騎士に手招きしてこちらに呼び寄せる。そうして、目の前にいる男をかくまうようにと命じた。

「そ、そんなに危険な状態なんですか……!」

 驚いたように彼が言うけれど、リヒャルトは黙ってうなずいただけだった。

 どこに匿うのか、ヴィオラは聞かない方がいい。これは、大人の領域だ。

「ヴィオラ、今の話は黙っていられるな?」

「もちろんです。子供じゃありませんからね!」

 見た目は子供だけれど、手を上げてそう主張しておく。そうしたら、きっとリヒャルトは安心するだろう。

「セスに頼りきりというわけにもいかないし、とりあえず、誰にも知られないようにして匿えばいい」

 それきり、その件については口を閉じ、二人は買い物に戻った。

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