転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「陛下はね、本当に冷たい人なの。自分の地位を脅かされることを恐れている。陛下のお妃が、全員外国から嫁いできた女性なのはそのためもあるのでしょうね。もちろん、周辺諸国との政略的なつながりも求めているのでしょうけれど」

 皇帝は、自分の妃達のことをどう思っているのだろうか。ヴィオラには、それを正面から問いただすことはできなかったけれど、皇妃はヴィオラの前では深い話をしても大丈夫だと思っていたようだった。

「それにね、私、思うの。陛下が皆に無関心だからこそ、私が今の地位にあるのではないかって」

 アデリナ皇妃の国は、とっくの昔に滅んでしまっている。だからこそ、ティアンネ妃は、アデリナ皇妃の地位を奪えると思ったのだろう。

 ――だけど。

 どの妃に対しても必要以上の関心を持たないからこそ、ティアンネ妃を強引に皇妃の座につけようという愛情までは持てなかった。

 もし皇帝が、ティアンネ妃の願いならなんでも叶えてやろうという強い気持ちを持っていたならば、リヒャルトを皇太子としたまま、アデリナ皇妃を皇妃から降格させることだってできた。

 皇帝こそは、この国一番の輝きを持つ人間なのだから。

< 167 / 225 >

この作品をシェア

pagetop