転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 この日は国中をあげてのお祝いだ。宴会の仕込みをしなければならない料理人や、今日の当番にあたってしまったかわいそうな侍女達もいるけれど、できるだけ早く仕事を終わらせて宴会に参加できるように、皇妃も気を配っている。

「ニイファも参加するでしょ?」

「私は、ヴィオラ様のお側におります。宴会のお食事は、あとでつまむので大丈夫ですよ」

 ヴィオラには侍女がひとりしかついていないので、全部ニイファに任せることになってしまう。それを申しわけなく思ったけれど、今から人を手配しても間に合うはずがなかった。

「ごめんね、ニイファ。来年までにもっと自分でいろいろできるようにするから」

「そんなこと気にしないでくださいな。さあ、ヴィオラ様。行きましょう。私がお側にいますから大丈夫ですよ」

 ニイファが気を配ってくれる。

 もし、ティアンネ妃がすべての陰謀に関わっていたならば、彼女が犯人であるとあぶり出すには絶好の機会。

 今日のために皇妃が新しく仕立ててくれたドレスは、葡萄色のひと揃いだ。

 首元には白いレースの襟がついていて、その中央には、黒いベルベッドのリボンがあしらわれている。さらにそのリボンの結び目には白いカメオのブローチが飾られていた。

 このブローチは母の形見だ。カメオに掘られているのは、女神リゾルデの横顔。繁栄を表す牛の姿と麦の穂が一緒に彫り込まれている。

 スカートはふわふわだし、髪にはスカートと同じ布で作った髪飾りをつけている。ヴィオラとしては、今日の格好は大満足だ。

 髪もいつも以上にふわふわになるようにコテで巻いてもらったので、それも気に入っている。

< 172 / 225 >

この作品をシェア

pagetop