転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
　きっと、すぐに追いつかれることになるのだろうけれど。前世が十八歳、今世が十二歳だからって、精神年齢が三十歳になるわけではないのだ。

「――リヒャルト、ヴィオラ。私、おかしくないかしら」

　その声とともに姿を現したのは、アデリナ皇妃だった。今日は、皇妃の正装を身に着けている。ゆったりとした白いドレスは、縁を金で彩られていた。

　胸元は大きく開き、腰はきゅっと締め上げられている。ゆったりとした振袖状の長い袖は、皇妃の動きにつれて優雅に揺れる。

　肩に羽織っているのは、毛皮のケープ。そのケープをダイヤモンドやルビー、サファイアといった宝石のついた大きなブローチで留めていて、その輝きに、彼女の持つ輝きも負けてはいなかった。

「とてもお綺麗です！」

「ヴィオラが褒めてくれるのなら、悪い気はしないわね」

　素直なヴィオラの賞賛の言葉は、皇妃の気分を上昇させたらしい。にっこりとして、彼女はリヒャルトに向けて手を差し出した。

「――母上」

　そう呼びかけたリヒャルトは、それきり言葉に詰まってしまったみたいだった。

　ゆっくりと口角を上げて微笑んだ彼は、差し出された皇妃の手を取り、ヴィオラの方へと振り返る。

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