転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「……では、まいろうか」

「はい、陛下」

 皇帝がアデリナ皇妃に腕を差し出す。皇帝と皇妃を先頭に、妃達、他の皇族達と続いて退出していく。

 皇族が神殿から出るのを見送って、ヴィオラはため息をついた。

(帰ってご馳走の準備をしなくちゃ)

 数日前から仕込みを続けていた料理は、満月宮で働いている人全員に振る舞われることになっている。

 ビュッフェ形式にしたので、温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく提供されるかきちんと確認しなくては。

 煮込みハンバーグは、厨房の料理人達に任せておいて大丈夫。

 あとは、大きなフライパンで作るスパニッシュオムレツ。トマトソースを別添えにしたから、ソースがちゃんと出されているかもチェックしないといけない。

 忙しく考えを巡らせながら、満月宮に戻ろうとしたヴィオラを呼び止めたのはセスだった。

「ヴィオラ様、殿下がお呼びです。こちらに来ていただけますか?」

「え? でも……」

「料理のことは気にするな、と。殿下の方から、料理人に使いを出しておいででした」

 ヴィオラが料理を気にしていることを、リヒャルトはちゃんとわかってくれていたらしい。

 セスの案内で、皇帝が日頃政務を行う太陽宮に移動すると、そこに待っていたのはティアンネ妃だった。

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