転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「まったく、なんてことなのかしら。せっかくの豊穣祭がこのようなことになってしまって」

　妃のひとりが、しみじみとそう言う。それに向けて、皇帝は命じた。

「大々的に宴を祝う気分ではなくなった。今宵は、内々で済ませることにしよう。私は、そなた達のうち、いずれかの宮で食事をする」

　豊穣祭の日の食事に、皇帝が同席するのとしないのとでは大違いだ。

　アデリナ皇妃と去ったティアンネ妃をのぞいた三人の妃達は、自分のところに来てほしいと熱心に皇帝を誘い始める。

「私達は、先に戻らせていただきます、陛下。リゾルデの恵みが、あなたの上にありますように」

　スカートをつまみ、足を一歩後ろに引いて優雅なお辞儀をした皇妃は、ヴィオラの方へと向き直った。

「あなたも来てくれるでしょう？　思っていたよりも時間がかかってしまったわね」

「よろしいのですか？」

「だって、今、あなたは私のところで暮らしているんだもの。リヒャルト、ヴィオラ姫をきちんとエスコートするのよ。もう立派な淑女なのですからね」

　リヒャルトがヴィオラを連れて退室しようとした時、皇帝はリヒャルトを呼び止めた。

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