転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「まあ、陛下……どうしましょう。陛下をお招きするような準備はしていませんでしたのよ？　こちらの席にお座りになって」

　広間はすでに酔っている人達で大騒ぎだった。ビールやワインも大樽ごと出されていて、今日ばかりは無礼講という雰囲気がぴったりだ。

　アデリナ皇妃に向けて、皇帝はバツが悪そうに笑ってみせた。

「私も、ここで食事をしてもかまわないだろうか。ここ何年かは、そなたのところで過ごすことがなかったからな」

　ということは、今までは一番のお気に入りだったティアンネ妃のところで過ごしていたのだろう。皇帝が誰と過ごそうが、ヴィオラが口をはさむべきところではないし、皇妃もそれは望んでいないだろう。

「皇妃様、もしよろしければ私がお取りしましょうか？」

「いいのよ。私が自分で取り分けるわ。私の好きなお料理を、陛下にも味わっていただきたいもの」

　その間も、ビールの樽が空になっただの、ワインがもっとほしいだのと使用人達も遠慮せず、それぞれ好き勝手に飲み物を手にしている。ヴィオラは子供なので、葡萄のジュースが入ったグラスを持たされる。

「リヒャルト様、あの……大丈夫ですか？」

「大丈夫だ、問題ない」

　問題ないと彼は言うけれど、今になってこの場に皇帝がいることをどう思っているのだろう。

　皇帝に料理を取り分けているアデリナ皇妃は、自分の好きなものをせっせと取っているようだ。

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