転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
(ここに来るまでは、いろいろなことがあったな)
ヴィオラが自分の国を出発したのは、半年ほど前のこと。それから、この国に来て、いろいろなことがおこった。
今、こうして皇妃と同じテーブルを囲むことができるようになったのは、ヴィオラや皇妃が巻き込まれた事件のせい。
「――母上。ああ、いい香りがすると思ったら、ヴィオラのパンケーキを食べているところでしたか」
「――リヒャルト様!」
サンルームに入ってきたリヒャルトは、ヴィオラに向かって長身をかがめる。頭を撫でられて、子ども扱いされた。
(私、子供じゃないんだけどな……)
なんて、内心では頬を膨らませるけれど、表情にはそれを出さないようにする。だって、彼から見たらヴィオラが子供なのは事実なのだ。
「リヒャルト様も、召し上がりますか?」
「いや、今日は昼食が遅かったんだ。まだ空腹ではないから、パンケーキはやめておこう」
(せっかく上手に焼けたんだけどな)
どうせなら、リヒャルトにも味見をしてほしかった。
そんなヴィオラの気持ちを、リヒャルトは敏感に感じ取ったのかもしれない。
「いや、一枚だけもらおうか。少しくらいなら食べられそうだ」
「――わかりました」
ヴィオラはワゴンに置かれていた皿からパンケーキを一枚取り上げる。抹茶クリームと餡を添えて、リヒャルトの前に置いた。
ナイフとフォークを取り上げたリヒャルトは、一口分を切り取って口に運ぶ。
「うん、うまい」
そんな風に彼が笑みを向けてくれるから、ヴィオラもドキドキしてしまう。
そんな二人の様子に皇妃が微笑まし気な目を向けていることには気づかず、ヴィオラは、パンケーキを食べるリヒャルトを見ていた。
ヴィオラが自分の国を出発したのは、半年ほど前のこと。それから、この国に来て、いろいろなことがおこった。
今、こうして皇妃と同じテーブルを囲むことができるようになったのは、ヴィオラや皇妃が巻き込まれた事件のせい。
「――母上。ああ、いい香りがすると思ったら、ヴィオラのパンケーキを食べているところでしたか」
「――リヒャルト様!」
サンルームに入ってきたリヒャルトは、ヴィオラに向かって長身をかがめる。頭を撫でられて、子ども扱いされた。
(私、子供じゃないんだけどな……)
なんて、内心では頬を膨らませるけれど、表情にはそれを出さないようにする。だって、彼から見たらヴィオラが子供なのは事実なのだ。
「リヒャルト様も、召し上がりますか?」
「いや、今日は昼食が遅かったんだ。まだ空腹ではないから、パンケーキはやめておこう」
(せっかく上手に焼けたんだけどな)
どうせなら、リヒャルトにも味見をしてほしかった。
そんなヴィオラの気持ちを、リヒャルトは敏感に感じ取ったのかもしれない。
「いや、一枚だけもらおうか。少しくらいなら食べられそうだ」
「――わかりました」
ヴィオラはワゴンに置かれていた皿からパンケーキを一枚取り上げる。抹茶クリームと餡を添えて、リヒャルトの前に置いた。
ナイフとフォークを取り上げたリヒャルトは、一口分を切り取って口に運ぶ。
「うん、うまい」
そんな風に彼が笑みを向けてくれるから、ヴィオラもドキドキしてしまう。
そんな二人の様子に皇妃が微笑まし気な目を向けていることには気づかず、ヴィオラは、パンケーキを食べるリヒャルトを見ていた。