転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「そういえば、あなたを誘拐しようとした件については、ティアンネ妃は認めていないのよね」
「――あの時のことは、もう忘れたいです」
王女として生まれ、継母に疎まれて、いつか殺されるのではないかと怯えていたけれど、目の前で剣が打ち合わされるのを目の当たりにするのは初めてだった。
できることなら、あの時のことはもう忘れてしまいたい。
「それもあるから、あなたを外に出したくないのよ。あなたを誘拐しようとしている人が他にもいるかもしれないもの」
にっこりと皇妃が微笑むから、ヴィオラはそれ以上なにも言えなくなってしまう。
「母上、父上がお見えになりました」
一日の政務を終えたリヒャルトが戻ってくる。一緒に皇帝がいるのに気づき、ヴィオラは慌てて立ち上がった。
ゆったりとした動作で立ち上がったアデリナ皇妃は、皇帝に向けてゆっくりと一礼する。そんな彼女の仕草に、皇帝は見惚れているみたいだった。
「陛下。今日もお越しになられるなんて――」
「迷惑だというのか?」
言外に迷惑という雰囲気を感じ取ったのか、皇帝が眉を吊り上げた。ころころと笑った皇妃は、椅子を運び、皇帝の席を作るように命じる。
「――あの時のことは、もう忘れたいです」
王女として生まれ、継母に疎まれて、いつか殺されるのではないかと怯えていたけれど、目の前で剣が打ち合わされるのを目の当たりにするのは初めてだった。
できることなら、あの時のことはもう忘れてしまいたい。
「それもあるから、あなたを外に出したくないのよ。あなたを誘拐しようとしている人が他にもいるかもしれないもの」
にっこりと皇妃が微笑むから、ヴィオラはそれ以上なにも言えなくなってしまう。
「母上、父上がお見えになりました」
一日の政務を終えたリヒャルトが戻ってくる。一緒に皇帝がいるのに気づき、ヴィオラは慌てて立ち上がった。
ゆったりとした動作で立ち上がったアデリナ皇妃は、皇帝に向けてゆっくりと一礼する。そんな彼女の仕草に、皇帝は見惚れているみたいだった。
「陛下。今日もお越しになられるなんて――」
「迷惑だというのか?」
言外に迷惑という雰囲気を感じ取ったのか、皇帝が眉を吊り上げた。ころころと笑った皇妃は、椅子を運び、皇帝の席を作るように命じる。