転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
　前世の知識とはいえ、高校生活の中で学んだものが多かったけれど、頭の中にばらばらに入っているそれらの知識が、不意をついて出てくるのだ。

　こうやって、和の食材を使った料理もその一つだ。

「このお団子も、彼女が試行錯誤して作ってくれたものですわ。ミナホ国の料理を、文献を見て、一生懸命作ってくれたのです」

「そ、それは……」

　皇妃があまりにも褒めてくれるので照れてしまった。皇妃がヴィオラを気に入ってくれているのは、とてもありがたいことだと思う。

「私、もっと勉強して、この国でお勤めがしたいです。だから――」

　国に帰ったところで、ヴィオラの居場所なんて残っていない。それを口にすることはできなかったけれど。

「それに、来てもらったばかりなのに、すぐに帰すというのもおかしな話だわ。我が国で、王族にふさわしい教育を受けてもらうのでしょう？」

　皇妃が味方をしてくれて、国に帰るという選択肢はなくなった。

　皇帝も、ミナホ国の料理を楽しんでくれたようで、それからあとはミナホ国の食材や調味料、料理の仕方について次から次へとヴィオラに問いかけてくる。なんでも、先日、この宮を訪れた時に食べた煮込みハンバーグが忘れられないのだとか。

　肉団子を使った煮込みは今までも食べられていたけれど、いわゆるハンバーグ型に成形して焼いたものというのは今まで存在しなかった。

　合わせるソースを変えることで味の変化も楽しめるから、きっと、ハンバーグも今後広がっていく。

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