転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 お茶の時間を堪能した皇帝は、部屋を出ていく時にヴィオラを呼んだ。ついてくるようにと命じた皇帝は、そのまま玄関の方に向かう。

(何の用なんだろう……)

 皇帝みずから、ヴィオラを呼ぶなんてあまりいい予感はしない。皇帝の命令には逆らえなかったから、一歩後をついて皇帝に続く。

 長い廊下を歩いていた皇帝は、不意に足を止めてヴィオラの方に振り返った。

「そなたは、アデリナになにをしたのだ?」

「別に、なにも……してません……」

 まるで皇妃に害をなしたと言われているみたいだ。皇帝の顔を正面から見るのは怖くて、ついうつむきがちになる。

 ヴィオラの行動を、皇帝は逆の意味にとったみたいだった。

「いや、そなたを責めているわけではないのだ。ウルミナ王国が滅びたあと、アデリナは落ち込むばかりでな。余との会話も、なかなか難しいものがあった」

 国が滅びたというのならば、きっと家族や友人も多数が失われてしまったのだろう。そんな中、皇妃が笑顔を失っていったのもわかるような気がした。

「だが、先日久しぶりに顔を合わせた皇妃は、とても雰囲気が柔らかくなっていた。十も二十も若返ったかのように生き生きとして。そなたがなにかしたのではないか?」

 そんなことを言われても。

 心当たりなどまるでないので、ヴィオラは困ってしまったけれど、ひとつだけ思い当たることがあるとすれば。

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