転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「余も、そこに混ざることができるだろうか」

「それは……」

 そこでヴィオラは困ってしまった。たぶん、アデリナ皇妃にとって、皇帝というのはさほど重視しなければならない相手ではなくなっているのだと思う。

 もちろん、夫というか伴侶というか。そういった立場にある人として、きちんと礼儀を守ったやりとりをするつもりはあるだろう。

 先日も今日も、皇帝とのやり取りには、皇妃のそういった意志が透けて見えるような気がした。

 だけど。

 あの輪の中に、皇帝が入るのはとても難しいような気がする。

 だから――ヴィオラは、所在なさげにしている皇帝に、あいまいな微笑みを浮かべながら、頭を下げて見送ることしかできなかった。

 

 ◇ ◇ ◇



< 208 / 225 >

この作品をシェア

pagetop