転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「――そこまでだ!」

 鋭い声がした瞬間、ヴィオラにかまけて完全に無防備になっていたセスが勢いよく吹き飛ぶ。

「残念だよ、セス。俺は、お前が関わっていない方にかけていたんだ。だから、お前をこの件からは遠ざけておいたのに」

「――リヒャルト様!」

 凍りついたヴィオラの身体を、一瞬にして溶かしたのはリヒャルトだった。彼の名を口にするだけで勇気づけられるみたいだ。

「ヴィオラ、こちらに!」

 命じるリヒャルトの言葉に、驚くほど軽く身体が動いた。ベッドから転がり落ちるようにして、リヒャルトの後ろに回り込む。

「絶対に、俺の前に出るな」

 うめき声を上げながら、セスが立ち上がった。

 リヒャルトを見つめる彼の目に、どうしようもないくらいに獰猛な光が宿る。

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