転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「まったく……あなたが俺を疑っているのはわかっていたのに。監視の目が緩んだと思った俺の過ちですか」

「まさか、ヴィオラを手にかけようとするとは思ってもなかった。子供を利用するとは、ずいぶんな手を使うものだな」

「そもそも、ヴィオラ姫がこの国に来たのが発端なので。ティアンネ様も、計算を誤ったということなんでしょうが……」

　トロネディア王国と、イローウェン王国の間の戦に、帝国が口を挟むのは想定外の出来事であった。それも、イローウェン王国に譲歩した形で条約を締結することになるとは。

　それだけならまだよかった。

　ティアンネ妃が皇妃の座に就くことに成功すれば、その程度の損失、いくらでも取り戻すことができる。皇妃の権力は、他の妃が持つ権力よりも格段に上なのだ。

　その第一歩として、アデリナ皇妃を引きずり落とす。その計画を立てていたのに、その計画はひとりの少女によって打ち砕かれてしまった。

　それも、イローウェン王国から人質としてやってきた、ヴィオラという少女の形をとって。

「……ヴィオラに罪はないぞ」

「わかっていますよ、そんなこと――ですが、皇妃を我が国から差し出すというのは、我が国の悲願だったのですよ。あなたの妃となる新しい娘を送り込むにしてもね」

　皇族であれば、何人も妃を迎えることができるけれど、現実問題としては五人が限界ではないだろうか。

　現在の皇帝は五人の妃を持っているが、その彼でさえも妃達の待遇に差ができてしまっている。

　だが、その五人の中に選ばれるというだけでも大変なのだ。

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