転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ

「お誉めに預かり、光栄でございます。殿下――ヴィオラ様のためならば、命を尽くしてお仕えする所存でございます」

「そう口にする奴は多いが、きちんと実行するやつは少ないんだぞ」

　その言葉を発した時、リヒャルトは元のように無表情に戻っていた。

　ニイファはベッドのそばに膝をつき、先ほど侍女に寝かしつけられたばかりだったヴィオラは、飛び上がるみたいにしてニイファに抱き着いた。

「ニイファ、ニイファ――無事で、無事でよかった――！」

　目からはぼろぼろと涙が溢れ、自分の感情を制御することもままならない。ニイファの首にすがりついて、わんわんと泣いた。

「あの……でも、どうして……？」

　ひとしきり泣いたヴィオラが落ち着きを取り戻した後、最初に口から出てきたのはその問いだった。

　ニイファがどうしてここにいるのだろう。あの窓からは、ヴィオラが這い出るのがやっとのことだったのに。

「殿下と部下の方達が、馬車の屋根を斧で壊してくださったのですよ。命がけで助けてくださいました」

　聞けば、その時壊された天井の破片で頭に怪我を負ったのだとか。心配そうに頭を見るヴィオラに、たいした怪我ではないとニイファは笑う。