転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「あの、殿下。やっぱりもう一度お礼を申し上げます。ありがとうございます。ニイファも……助けてくださって、ありがとうございます」

 ニイファが無事でよかった。ベッドに半身を起こしただけの状態ではあったけれど、その場でもう一度頭を下げる。

「――いや、礼を言う必要はない。皇宮に向かう途中で盗賊に襲われてしまったのは、我が国の失態だからな。謝罪するのはこちらの方だ」

「いえ……」

 なんだろう、彼の顔に浮かぶなんとも言えない表情は。

(この人、世の中に失望しているとかそんな感じ?)

 オストヴァルト帝国の皇太子自ら、ヴィオラを出迎えに来たというのも不自然な気がする。何か裏でもあるのだろうか。

 けれど、目が覚めたばかりで、浮かんだ疑問もすぐに消え失せてしまう。ニイファがかいがいしく世話を焼いてくれて、再びベッドに横たわらされる。

「では、ヴィオラ姫。ここが、これから君の生活の場となる。医師も手配してあるから、あとは医師の指示に従ってゆっくり養生してくれ」

 はい、と返事をする間もなく、リヒャルトは部屋を出て行ってしまった。

「ねえ、ニイファ。リヒャルト殿下って……なんであんな顔をするのかしら」

「あんな顔……? ええ、とっても見目麗しい方ですわね」

「私が言いたいのはそうじゃなくて……なんだか、うーん……なんだろ、自分の無力さを痛感してるって感じ?」

 というか――諦めている雰囲気もあるけれど、さすがにニイファにも言えなかった。

 ニイファが顎に手を当て、考え込む表情になる。

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