転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「リヒャルト殿下は、いろいろと難しい立場にあられる方と聞いています。ヴィオラ様もご存じでは?」

「ええと、お母様はアデリナ皇妃陛下よね? たしか、ウルミナ王国のご出身で……あ、もう国はないから……後ろ盾がないってこと?」

「ええ、その他に皇帝陛下には何人かのお妃様がおられます。特に勢力をお持ちなのが、ティアンネ妃殿下です。それと引き換え、皇妃陛下は寵愛が薄く……」

「なるほどね。それじゃ、思う通りに行かないことも多いのかも」

 オストヴァルト帝国は、皇族直系男子に限り、妃を複数人持っていいと定められている。これは、皇帝一族の血を確実に次の世代に繋げるための手段だ。

 もっとも尊重されるべきは皇妃。それ以外の妃は、二妃、三妃と序列をつけられ、皇妃より下の地位と言う扱いだ。皇帝の『妃』である以上、見目麗しい女性ばかり。そして、彼女達自身の権力だけではなく、実家の権力や影響力も物を言う。

 リヒャルトの母であるアデリナ皇妃は、ウルミナ王国の王女だった。皇帝に、最初に嫁いだ妃でもある。

 だが、ウルミナ王国は彼女が嫁いだ後に滅亡。今でも、皇妃の地位にとどまってはいるが、彼女の勢力というものはほとんどなきに等しいものだ。
< 27 / 225 >

この作品をシェア

pagetop