転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 寝室は白とパステルカラーを中心に可愛らしくまとめられていた。木目がむき出しになっている床は、顔が映りそうなくらいにぴかぴかに磨き込まれている。

 白いベッドには天蓋から薄い布が吊るされていて、そこに用意されている寝具もまた、上質で白いもの。

 続く支度部屋には、国から持参した衣類や小物がおさめられている。

 さらに勉強部屋は、一面を本棚が占めていて、そこにはずらりと本が並べられていた。

 本棚には勉学に必要な本はもちろんのこと、ヴィオラと同じ年頃の少女が好みそうな物語の本もたくさん用意されていて、壁には美しい花の絵が飾られているといった調子だ。

「ここ……本当に、このお部屋全部私のもの?」

 なんて、ヴィオラが口走ってしまっても、誰にも責められないと思う。人質としてこの国に来たとはいえ、イローウェン王国にいた時よりもよほど贅沢な作りだった。

 ニイファにも、ヴィオラの寝室の隣に小さな個室が与えられている。そして、この建物に滞在している少女達には、すべて同じ作りの部屋が与えられているそうだ。

 ヴィオラ以外の令嬢の中には、侍女を数名連れてきている者もいるらしいけれど、寝室の隣にある個室に入れるのは一人だけ。それ以外の者は、クィアトール宮の最上階に並んでいる部屋で、三名で一室を使っているそうだ。

 もっとも、ヴィオラが最上階に行くことはないので、自分の目で見たわけではないけれど。

(明日には、この国に滞在している人達全員との晩餐会だっけ……)

 それを思うと、ちょっとばかり気が重くなってしまう。

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