転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ

　広い皇宮内を、リヒャルトはゆっくりと馬を歩ませる。最初のうちはびくびくしていたけれど、少しずつ周囲の様子をうかがう余裕も生まれてきた。

（……けっこう、使用人の数は多いのね）

　庭の手入れをしている人だけでもかなりの人数な気がする。やはり帝国は栄えているということなんだろう。

　華やかな花々に彩られた庭園を通り抜け、皇宮の裏手の方に馬は向かう。その先は、騎士達の官舎がある区画だ。

　騎士団に所属する騎士は貴族の出自であることが多いけれど、彼らの多くは次男三男で家を継げないから騎士団での出世を望むという話だ。

　馬を側にいた騎士に預けたリヒャルトは、ヴィオラを訓練場の方に連れて行ってくれる。

「新入り達は素振り五百回。手合わせをする者は、こちらに来い！」

　近づいていくと、ちょうど訓練が始まるところだったようだ。訓練中の騎士達は、掛け声と共に移動を始めた。

　きちんと列を作って並び、素振りを始める新人騎士達。それを側で見て声をかけ、指導しているのは先輩騎士なんだろう。

　かと思えば、訓練場の端には人の輪が出来ている。ここで手合わせを始めるようだ。

「……すごいですねぇ……！　皆、すごく強そうです！」

　思わずヴィオラの目がきらきらと輝いた。