転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 自分の国にいた頃は、騎士達の訓練を見る機会なんてなかったのだ。それが誰の差し金であるのかもちゃんとわかっていたから、無理を言って見学に行くこともなかった。

「そうか? この国は、周囲の国を守る役も負っているからな。その分、騎士達の訓練は厳しいものとなる」

 リヒャルトの言葉の通り、騎士達の訓練は厳しいものだ。この国は、他の国より上の立場にあると自負しているし、国間の争いにも仲裁に乗り出してくる。

 そうしてもどこの国も不満を言えないだけの力を持っているし、その力を保持するためにはこうやって厳しい訓練が欠かせないのだろう。

「私も、助けてもらいました」

 水中では思うように動けないだろうに、湖に馬車が転落した時も、騎士達はなんのためらいもなく手を貸してくれた。

「そんなの当然だろう。我が国が、ヴィオラにこちらに来るようにと命じたのだからな」

「でも、盗賊に襲われるなんて、想定していなかったでしょ?」

 そんなことを話していたら、向こうから背の高い青年が駆けてくるのに気がついた。

 昨日、リヒャルトと一緒にクィアトール宮を訪れた青年だ。

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