転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「わかりますわかります。ぎこちないですよね、あのふたり……距離があるというか」
「そういうのって、ちょっと……ううん、ものすごく悲しいと思うの。だって、私――」
前世の思い出を口にしかけて、慌てて口を閉じる。
今、ここにいるのは『ヴィオラ』だ。前世のことなんて、持ち出すべきじゃない。ヴィオラが知っているのは、自分達のことばかり考えている継母、その継母の言うままにヴィオラを疎外してきた父。
ここ数年、ヴィオラのことを大切にしてくれたのは、ニイファだけだった。
「でも、それはヴィオラ様が心を砕いたところでどうにかなるものでもないでしょうに」
「それは、わかってるの。そうじゃなくて……うぅん、なんて言ったらいいのかな……皇妃様とリヒャルト様が、もっと楽しくお茶を飲めたらいいと思うの」
あの時、最後ちょっとだけ場が和んだのは。
皇妃が親友だったというミナホ国の少女との思い出を話してくれた時だった。その時だけは、彼女の表情が十歳以上若返ったように見えた。彼女がまとっている沈鬱な雰囲気も、その時だけは消え失せていて、とても楽しそうに見えたのだ。
「ねえ、セス。ミナホ国の食材を手に入れられない?」
「そういうのって、ちょっと……ううん、ものすごく悲しいと思うの。だって、私――」
前世の思い出を口にしかけて、慌てて口を閉じる。
今、ここにいるのは『ヴィオラ』だ。前世のことなんて、持ち出すべきじゃない。ヴィオラが知っているのは、自分達のことばかり考えている継母、その継母の言うままにヴィオラを疎外してきた父。
ここ数年、ヴィオラのことを大切にしてくれたのは、ニイファだけだった。
「でも、それはヴィオラ様が心を砕いたところでどうにかなるものでもないでしょうに」
「それは、わかってるの。そうじゃなくて……うぅん、なんて言ったらいいのかな……皇妃様とリヒャルト様が、もっと楽しくお茶を飲めたらいいと思うの」
あの時、最後ちょっとだけ場が和んだのは。
皇妃が親友だったというミナホ国の少女との思い出を話してくれた時だった。その時だけは、彼女の表情が十歳以上若返ったように見えた。彼女がまとっている沈鬱な雰囲気も、その時だけは消え失せていて、とても楽しそうに見えたのだ。
「ねえ、セス。ミナホ国の食材を手に入れられない?」