転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「市場に行けばあるかもしれませんね。ミナホ国の大使が滞在することになったとかで、商人達も海を渡ってこちらに来ているようです。彼らのためにミナホ国の食材を商う店が出始めたとか」

(お店があるなら……たぶん、小豆もあるんだと思うけど……)

 クィアトール宮の厨房も、頼めば貸してもらえるだろうから、材料さえそろえば作ることができる。

 だが、ヴィオラは留学生の名目でこちらの国に来ているとはいえ、人質なので勝手に出かけることはできない。

 厳重に警戒されているわけでもないから、許可を得れば一定の範囲内で観光して回ることもできるが、その許可を得るのも大変だ。

「俺からリヒャルト様にお願いしてみましょうか。リヒャルト様だって、このままでいいとは思っていないと思うんですよ」

(本当に、それでいいのかな……?)

 セスの顔をちらりと見上げて考える。もちろん、セスがその役目を引き受けてくれたらとても楽なのだ。

 リヒャルトもセスが言うならば、真面目に取り合うだろう。

 ――だけど。

 それが正しいこととはヴィオラには思えない。ヴィオラがやりたいと思ったのだから、自分できちんと対応すべきだ。

「私からお願いしてみる。リヒャルト様は、今、太陽宮にいるの?」

「よければ、俺がお連れしましょう。俺なら、面会の許可も必要ありませんからね」

 セスが協力してくれるのならば安心だ。

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