転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「ティアンネ妃は一度身ごもったことがあったんですよ。無事に生まれていれば、今のリヒャルト様と同じ年のはずでした。俺は、その皇子、もしくは皇女の遊び相手になるはずだったんです」
ティアンネ妃に親子で仕えるはずだったのが、セスだけリヒャルトの側仕えになったのは。
「父の計画だったようですね。ティアンネ妃が子供に恵まれなかった場合、俺が皇太子の側にいれば伯爵家には得になる、と」
(……それなら、損得勘定だけでリヒャルト様の側にいるのかしら……?)
けれど、セスはそれ以上ヴィオラに心の内を読ませることはしなかった。
太陽宮の前に到着し、誰にも止められることなく入り口から中に入る。幾度もここに来ているらしく、迷いのない足取りでセスは進んだ。
「ここがリヒャルト様の執務室ですよ」
扉をノックし、扉越しにセスが名乗る。入室の許可が出てから、彼はヴィオラを連れて中に足を踏み入れた。
「ヴィオラか。どうした?」
「あ、あのですね……」
忙しい中、仕事を中断させて外出の許可を得るのが申しわけないような気がして、ここまで来たのにもじっとしてしまう。
「ヴィオラ様は市場に行きたいそうです。外出の許可をいただきたいのですが」
「ちょっ、セス! まだ、私、ちゃんと言ってないのに!」
言葉をひねり出そうとしていたら、セスに先を越されてしまった。
ティアンネ妃に親子で仕えるはずだったのが、セスだけリヒャルトの側仕えになったのは。
「父の計画だったようですね。ティアンネ妃が子供に恵まれなかった場合、俺が皇太子の側にいれば伯爵家には得になる、と」
(……それなら、損得勘定だけでリヒャルト様の側にいるのかしら……?)
けれど、セスはそれ以上ヴィオラに心の内を読ませることはしなかった。
太陽宮の前に到着し、誰にも止められることなく入り口から中に入る。幾度もここに来ているらしく、迷いのない足取りでセスは進んだ。
「ここがリヒャルト様の執務室ですよ」
扉をノックし、扉越しにセスが名乗る。入室の許可が出てから、彼はヴィオラを連れて中に足を踏み入れた。
「ヴィオラか。どうした?」
「あ、あのですね……」
忙しい中、仕事を中断させて外出の許可を得るのが申しわけないような気がして、ここまで来たのにもじっとしてしまう。
「ヴィオラ様は市場に行きたいそうです。外出の許可をいただきたいのですが」
「ちょっ、セス! まだ、私、ちゃんと言ってないのに!」
言葉をひねり出そうとしていたら、セスに先を越されてしまった。